心にナイフをしのばせて

心にナイフをしのばせて

心にナイフをしのばせて


確かに、同級生をメッタ刺しにして殺した少年が数年で少年院を出て勉強して弁護士になって賠償金を支払いもせずにいい暮らしをしているというのはショッキングだが、それ以上に被害者の遺族の痛みがショッキング。
というか遺族の話ばっかり書かれていて、加害者については「法律の壁に阻まれてほとんど取材できなかった」ということで、加害者側の視点に欠けていて、やはりどうしても偏った印象を受けてしまう。遺族の痛みはとても分かるのだが、一つのレポートとして見れば、この本ははっきりと偏っている。
加害者にも言い分はあるだろうとは思う。この本を読み終えたときにやはり一番知りたいのは「なぜ殺したのか」ということで、それは読みはじめた最初から最後まで結局なんら解決されないまま。納得できないまとめ方なのが残念。