気持ちは分かる

仲間外れにならないために群れるのはイヤ。でも独りでいられるほど自分に自信がない。そんな主人公の目の前に、孤独を意に介せず自分の世界に没頭するオタクが現れる。明らかに自分より下と見下しながら、その泰然とした生き様に激しく嫉妬する。だから蹴る。蹴ることで自分の優位を確かめようとする。
その一方でオタクの宝物を守ろうとするのは、その生き様への憧れでもある。それを群れることをよしとする友人に否定されるのが怖くて、友人からは宝物を遠ざけようとする。そんなアンビバレンス。
拠って立つ何かを求める、しかしまだ手応えはない、そんな年頃の少女の焦燥感、無力感を淡々と描くことに成功している。「蹴りたい背中」を読んで初めて、「インストール」で何を描こうとしていたのか分かったような気がした。