<a href="http://fifaworldcup.yahoo.com/06/jp/w/match/template.html?id=21&day=16&month=06&year=2006">アルゼンチン6-0セルビア・モンテネグロ</a>

点差どうこうよりも、その内容がとても感慨深かった。

現代のサッカーは攻める側も守る側もだいたいポジションが決まっていて、あのへんにいつもあいつがいる、というのが当り前になっている。だからディフェンスしてボールを奪ったら大体いくつかのパターンがあってまずあいつに出して次は例えばサイドに振ってセンタリングしてそこへ得点力のある奴が走り込んで、という具合で、まあいくつかのオプションや相手の布陣を踏まえた作戦とかはあるものの大体長くても30秒くらいで攻守が入れ替わることを淡々と繰り返すのが普通だ。
しかしアルゼンチンは違う。ある意味古い。かつてブラジルがその代表格だった、細かいパスをつないで前線へにじり寄っていく時間のかかるサッカー。まあブラジルも基本的にはそういう形だけど、でもブラジルにはいくつかの決まった形がある。アルゼンチンにはそういうのがない。いや、あるのかもしれないがそれを感じさせない。
今日の相手は右サイドのディフェンスがうまくなかった。それを感じとると選手の多くが左サイドへ寄って細かいパスを延々と繋ぎ、ポジションチェンジという言葉では表現できない位の細かい動きで相手をかき回した。ボールを持った選手が動いて作った小さなスペースへ他の選手が素早く動き、パスを受け取る。その単純な繰り返しで相手のマンマークとかディフェンスラインなどという現代のサッカーの概念を破壊し、どんどんパスのピッチをあげてペナルティエリアへ入ってからとどめを刺す。そうして2点めのゴールが達成されたのだ。間違いなく、これがこの大会のベストゴールだ。
それがいつも機能するとは限らない。たぶん個人の能力で上回るブラジルやイングランド、オランダなどには通用しないだろう。しかしたぶん、ジーコが日本代表監督として目指そうとしているサッカーは、こういうスタイルなのだと思う。日本の選手たちの能力ではスペースへ動いたりパスを回す動作のスピードが致命的に遅くて全然形にならないが。小野伸二が5人くらいいれば、あるいは目指せるかもしれない。そこまでのレベルの底上げが達成されることは、この国でありえるのだろうか?