「やらせ」かどうかとは無関係な、多くの市民がそこにいた
アメリカで起きた同時多発テロは「やらせテロ」だった、という人がいる。アメリカがやられると分かっていて、アルカイダを叩く口実としてわざとやらせたのだ、とかなんとか。
はっきり言って、そんなことはどうでもいい。問題ではないのだ。この本に記されたことこそ問題なのだ。
ワールドトレードセンタービルに飛行機が突入したとき、その場に居合わせた人々がそれぞれ何を考えどのように行動したか。救助に駆けつけた人々がそれぞれ何を考えどのように行動したか。組織的な救助はなぜ機能しなかったのか。飛行機がぶつかっても倒れないはずのビルはなぜあっさりと102分で崩壊したのか。そして何が生死を分けたのか。そして私たちはそこから何を学ぶべきか。全ての答えがここにある。
多くの証言から丹念に時系列を組み立てた素晴らしいドキュメント。「やらせテロ」という言葉を一度でも口に出した人には、この本を読む義務がある。