選挙に行ってきたけど

さっき、市議会議員選挙の投票を済ませてきた。

済ませないと書いてはいけないような気がしていたので控えていたが、義務として済ませるべきことは済ませたので、権利として書きたいことを書こうと思う。

まず最初に、特定の誰かを貶めるようなことは意図しておらず、選挙者及び被選挙者全員に当てはまる問題意識として書いているということを断っておきたい。

 


(1)選挙活動のムダ

県議会議員選挙と市議会議員選挙を通じて強く感じたこととして、現状の選挙活動はムダである。

朝、出勤するために最寄り駅へ行くと、候補とその支持者が並んでいて、挨拶をしてくる。

朝8時になるまでは演説やビラ配りをしていけないのだそうだ。

そのまま候補者の名前と挨拶だけ聞いて、電車に乗るまで全く何の情報も得られない。

昼間は県外というか都心で働いて、帰ってくると夜になる。

夜8時を過ぎるとまた演説とビラ配りはできないとかで挨拶をしてくる。

夜も全く情報を得られない。

 


僕の家から駅までの間にポスターの掲示場がない。

金曜日に仕事を休んでそれ以外の場所へ歩いていく機会があり、その途中にポスター掲示場があった。

候補者の名前と写真が書いて貼ってある。

その人がどのような活動をしており、何を重点的に実現したくて議員になりたいのか?

全く情報が得られない。

このポスターを告示日に貼るために、候補者は支持者に手伝いを依頼して市内あちこちへ貼る。一日がかりでクタクタになるということだ。

掲示場は市内400か所以上あって貼り切れないので、候補者同士で人手を融通しあって、他の候補者も一緒に貼ることで、作業範囲を狭めて効率化しているそうだ。

駆け引きもあって、一度引き受けておいてやっぱりゴメンするとか、ほとんど妨害まがいのことも発生しているそうだ。

そこまで苦労して貼って、1週間で一度しか目にしなかった。

狭山ヶ丘駅の西口に北側からアクセスする所沢市民は一度も目にしなかった人が多いに違いない。

掲示する場所が適切に決められているとは思えない。

 


選挙公報が家に届いたので読んでみると、こういうことをやってきました、こういうことをやりたい、という情報が書いてある。

選挙期間を通じて、これがほとんど唯一の情報源である。

候補者1名あたり縦10センチ、横12センチ。

このくらいなら誰だって(小学生だって)何かしら耳障りのいいことを書ける。

逆に言うとこれだけでは差別化は難しい。これで何を判断しろというのか。

せめてA4チラシ裏表くらいのスペースを与えて、言いたいことを全部言わせるくらいのことをしないと、人となりまで含めて判断することは困難である。

全候補者に対して公平を期すために、ここは費用をかけてもっと充実しないといけない部分だと思う。

 


また、今回の選挙から、候補者が作成して配布するビラは無料で作成できるようになったそうだ。

でもそのビラを配布できるのは朝8時から夜8時まで。

県外で働くために朝早く出勤して夜遅く帰ってくるサラリーマンはこれを入手できない。

それだったら選挙公報の代わりに全員分を全戸配布すればいいじゃないか。

二重投資しているうえに片方は情報量不足、もう片方は全員に届かない。

ムダもここまでくるとあきれてしまう。

 


選挙期間よりも前に、駅前で立候補予定者の方々が市政報告と銘打ってチラシを配っている。

これが結構いろいろ書いてあって、次回の選挙に向けた参考になる。

実際、僕はこれに基づいて、今回だれに投票するかを決めた。(誰に投票したかは誰にも言わないことにしています)

あれは私費なのか、市議会議員は議員活動費から捻出できるのか知らないが、いずれにせよ公平ではない。

お金持ちと現職だけがアピールできるシステムだ。

 


土曜日家にいると、時々外を選挙カーが通り過ぎて行った。

時間にして30秒くらいか、候補者の名前と、代表的なスローガンを連呼している。

これが投票行動に何か影響するのか。

少なくとも僕の投票行動には全く影響しなかった。

やらないと存在感出ないのでやっているのだろうし、一生懸命声を出しているウグイス嬢の方や、手を振り続ける候補者の方には大変申し訳ないが、これは効果が非常に少ないと思う。

 


(2)投票率の低下

所沢市議会議員選挙の投票率の推移が公開されている。

http://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kurashi/shiminsanka/senkyo/sennkyonokiroku.files/H27shigi.pdf

投票率は下がり続け、昭和26年には92.58%(!)だったのに、前回、平成27年の選挙では39.76%、とうとう4割を切ってしまった。

特に若者の選挙離れが深刻である。30歳未満の投票率は20%に満たない。

確かに、さっき投票所に行ってきたけど、どう控えめに見ても48歳の僕が一番若かった。いや、選挙管理委員会の人に一人若い人がいたかもしれない。

僕の前に出てくる人も、僕のあとに入ってくる人も、みんな高齢者だった。

そもそも若者は日曜日の昼間に所沢市でぼんやりしていないのかもしれない。

これをどう解決するつもりなのか。何か具体的に解決に取り組んでいるようには見えない。

そもそもハガキを受け取れる場所に投票者がいないケースもあるはずだ。進学や就職で家を出ているけど、便宜上住民票は実家に置いたままだと、そもそも投票するための入場券が手元に届かない、届いても生活している場所で投票できない。

不在者投票の手続きもあるが面倒くさすぎる上にお金がかかる。お金をかけてまで投票しなきゃいけないと思う人はそれでもいいけど、実際問題としてそういう人には候補者の情報とか、そもそも選挙があること自体、自分から情報を取りに行かないと届かないので、情報格差がある。

例えば投票しやすくする(スマホで投票できるようにする)とか、期日前投票をやりやすくする(全ての鉄道駅に投票箱を置く)とか、やれることはあるはずだ。

また、若者に対しては、何か具体的に投票することへのインセンティブを提供する必要があるのではないか。

安直だが、例えば30歳未満の投票者にはチョコレートを配るとか、PayPayのクーポンを付与するとか。

何もしないでいると、若者が40代、50代になるころには、投票率が20%台になり、選挙というシステムが機能しなくなってしまう日がやってくる。

そのとき政治はどうなるのか?誰が国を運営するのか?

ちゃんと対策してほしい。

 


(3)不透明な選挙費用

所沢市選挙管理委員会は選挙にかかった費用を市のホームページで公開していない。

そもそもどういう費用が公費負担されるのかは、↓ここに書いてある。

http://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kurashi/shiminsanka/senkyo/20180912.html

 


他にも、選挙所を設置、運営する費用とか、選挙公報の発行、配布とか、投票率を上げるために広報したりとか、ポスター掲示場を設置したりとか、いろいろかかっているはずなのだが、公開されていない。

公開されている市の予算案に総務費-選挙費という費用項目があるのだが、新規事業費だけが説明されており、市議会議員選挙に関しては何も書いてない。

おかしくないですかこれ。

 


市議会議員の給与は月56万円、ボーナスは年間4.3か月分支給される。

これの4年間の総額と、選挙1回あたりの費用を比べて、上記のような薄い効果しかない選挙がどれくらいもったいないか言いたいのだが、情報が足りない。

情報公開請求すれば見られるのかもしれないけど。

せめて総額いくらかかったか公表していただけないだろうか。

 


(4)候補者の問題意識

そしてこういうことを問題として政策に反映しようとする候補者が一人もいない。

自分で自分の首を真綿で締めているのに、見て見ぬふりをして、現行法で許されている運動に固着している。

お金をかけるべきところへかけるように、自分たちでできることはやっていかないのいけないのではないですか?