こういう依頼ができる相手としてあなたがいることにとても感謝しているから、引き受けてくれる前からもう感謝を伝えたい、という長ーい能書きはメールとして冗長すぎる。
だいたい日本語はこういう、相手に向けた自分の気持ちをストレートに伝える短い言葉がない。俺が知らないだけかも知らんが。
英語の手紙はそういう慣用句に満ちており、まあ形式的といえばそうなのだけど、読んでいる自分と書いた相手がとても近しい感じがする。
Dear に始まり、
glad とか appreciate とかちりばめて、
結びは Yours とかSincerely とか、件の
Thank you in advance とか。
読ませる人に書き手の気持ちが向いているということがビシバシ伝わってくるのである。
来たわコレ、最優先でやらないといかんねー、いやーいつも無茶言うなこいつ困るわー、とニヤニヤしながら席を立つ自分が想像できる。
これが日本語だと、
おつかれさまです とか お世話になっております とかで始まり、
していただければ とへりくだっておいて、
よろしくお願い申し上げます。 で締める。
あーめんどくせー断りたいなー、まあいま忙しいし明日やるかー、一応承りましたってメールだけ書いとくかー。
なんだこの違いは!
日本人の手紙はへりくだりすぎてもはや嫌味であるということが、こうやって比べるとよーく分かる。
手紙というものに対する文化的スタンスの違いと言えばいいのでしょうか。
かくして毎日なんとか自分の感謝を相手に伝えたいとモジモジしながら、今日も
お世話になっております。
と日本語でメールを書き始めるのだった。いっそ英語で書いてやろうかと。いやー困るわー。