ホテル・ルワンダ


ルワンダで起きた(起きている)ツチ族とフツ族の民族抗争。目を背けたくなるほどの虐殺。しかしこの映画がただものではないことは、作中で外国人カメラマンが主人公に向かって言う次のせりふに集約されている。

『「みんなニュースを見て「ひどい」と言うけど、そのままディナーを続けるんだ』
海の向こうで戦争がはじまる。ひどいことだ。でも私たちはそれに対してどうすればいいのか。そこを本気で考えさせてくれる映画だと思う。
ちなみにホテルの支配人である主人公はありとあらゆるコネ(ホテルの本社や赤十字や国連軍や政府軍の将軍や、果ては民兵による虐殺の指導者まで)を使ってみんなで生き延びようとして、そして実際に生き延びるのだが、そこまでして生き延びられたのは日々の(賄賂の)積み重ねがあった上でも本当にたまたま偶然のこと、そして懸命の駆け引き、交渉の成果なのだというのがよく分かる。決して安易なヒロイズムに流れない。いい映画です。