コメント欄にメールアドレスの項目があり、しかもそれが必須だったら、コメント投稿をためらう、という話。
本文も興味深いが、コメント欄を見ていると、いろんな考え方があり、まだこのへんの問題に関するコンセンサスのようなものは形成されていないのだな、と感じる。
いや、違うな。待て待て。議論が収束していないときは、いくつかの問題が混在して議論されている可能性があるのだった。
コメントをおおまかに分類してみよう。
- コメントする資格について
- メールアドレスも記入できないヒトはコメントする資格なし
- 誰が言ったかではなく何を言ったかが吟味されるべきだ
- 発信する側は好き勝手な事を書いておいて、レスポンスには特定情報が必要なんてのは思い上がり
- 認証として機能しているのではないか
- 入力されたメールアドレスに返信するとか
- Bugzilla方式
- 必須にする必然性を感じない
- 嘘書き放題だから意味ない(捨てメアドとか)
- スパムその他何に使われるか分からないところに自分のアドレスなんて公表したくない
- 個人情報が洩れるのが嫌なら書くな
なるほど。やはり複数の問題がいっしょくたになっているようだ。
認証の要否
つまり、同一ハンドルを冠したコメントが常に同じ人間から発信されているという保証が欲しいかどうか、ということ。それだと手間がかかることがおっくうだから発言しない、という人がいるのを承知で使うなら、認証を求めること自体はOKだろうと思う。ワタシが思うかどうかとは関係なく、実際に認証を求めるモデルが成立している(TypePadとか)ので、これはもうアリということだ。
もちろん認証不要というポリシーもありうるだろう。
コメントする資格の有無
これははっきり言ってよく分からない。もっと言えば理解できない。コメントするのに資格が必要?なんだそりゃ。メールアドレスが何かの資格になるんですか?そんなもん人のを騙ることだって、捨てメアドを書くことだって簡単(書くだけ)だというのに。メールアドレスと「資格」「発言の有用性」という権威付けの関連が理解できない。
メールアドレスという個人情報を求めることの意味
メールアドレスは本来メールを出すために使うものだ。だから、本当にメールを送る場合は求めてもいいだろうが、個人情報保護法などが制定されている昨今、収集したメールアドレスをどう用いるかというexcuseくらいはあってしかるべきだろう。
また、本人識別のためにメールアドレスを用いることは、認証の仕組みを用意しても、捨てメアドなどで簡単に欺くことが可能であるため、適切でない。
ちなみに、コメントに対する返事を送るためにメールアドレスを用いているサイトは実在する。たとえば結城浩さんのWebサイトにコメントを送ったときは、丁重なお礼のメールを頂いた。