WinnyのCacheフォルダを駆除しない理由

高木浩光さんが一つの疑問を提出しておられる。いや、ワタシはそこまで考えもしなかったですよ。

ここでひとつ疑問がある。なぜ、アンチウイルスベンダーは、WinnyのCacheフォルダ内のウイルスファイルを駆除しないのだろうか? これを駆除すれば、上の2.の要因は消滅し、普通のウイルスと同程度の沈静化を達成できるかもしれないのにだ。

ということで、最後にいくつか理由の候補を挙げておられるのだが、その注釈にある以下の文章を読んで、ふと思った。

メール媒介ウイルスの場合のように、メール送信時にウイルスフィルタリングが行われている理由が、他人に迷惑がかからないようにすることであるのと対比すれば、Cacheフォルダ内のウイルスを駆除することもアンチウイルスの本来の目的に合致しているという見かたもできる。しかし、WinnyのCacheフォルダ内のファイルは、利用者にとって「公衆送信している」という自覚を持たないようにWinnyが作られているため、その部分に対してウイルス駆除が必要だという考え方が出てこないのかもしれない。

というよりむしろ、その「自覚を持たない」ことを逆手にとって、なるべく多くのウイルス対策ソフトを売り上げたいという狙いがあるのではないか。
つまり、Winnyに入ってくるファイルを駆除するのは顧客の利益に適っているが、出ていくファイルは顧客の利益とは関係がない。しかもキャッシュの状態なので(高木さんのおっしゃるようにウイルス対策ソフト側が特別な対応をとらなければ)ウイルスを駆除することが難しい。難しいので、現在のところ対応しない。もしそこにウイルスが含まれていて、それが他のPCへ送信されて感染に至れば、そちらのPCでもウイルス対策ソフトの出番、というわけだ。
…いくらなんでもちょっと穿った見方すぎるか?