日本のLinux事情

短期記憶容量少ナキ我ガ爲ノ備忘録也経由、DistroWatch.comの記事。
Special report: A tale of two distributions
Turbolinuxがビジネスシーンの話に終止した模様なのに対して、Vine Linuxのプレジデントお二人はユーザーレベルでのLinuxの普及、開発状況について率直なお話をされている。そのお二人との会話を受けてのこの記事、という見方で読むと、かなーり悲観的な印象を受けて書かれた記事なのだな、と思う。その場でお二人がどのような話をされたのかは推測するしかないのだが、でも最前線で日本におけるLinuxの普及に尽力してこられたお二人の言葉なので、ここに語られている現状の厳しさには非常に重みがある。

The Linux boom that many Japanese computer users experienced at the turn of the century was quickly followed by doom and gloom - troubles with Japanese input under Linux, combined with lack of easy-to-use applications, have reduced Linux into a marginal operating system. Worse, many developers who had been previously motivated to make Japanese Linux a reality by developing user-friendly input methods, fonts and other related applications were driven away by threats of lawsuits by companies that had patented algorithms for intelligent input methods and other computing conveniences for the complex Japanese language.

今世紀始めに日本のコンピュータユーザーの間でLinuxが流行したが、日本語入力周りのトラブル、使いやすいアプリケーションの不足でLinuxは用途を限定されたOSになってしまった。IM、フォントなどを開発していた人々は法的トラブルの脅威に晒されて開発から手を引いてしまった。

the representatives of the geek-oriented entity (Vine Linux) appeared to believe that Linux adoption in Japan was far too slow, even non-existent. The second point of note is the fact that most Japanese businesses and individuals don't appear to see much value in Free Software, perhaps even misunderstand the concept. That's disappointing, especially because Japan is one of the most technologically advanced countries in the world.

Linuxの認知は日本では遅々として進まず、ほとんど受け入れられていないも同然。日本では企業も個人もフリーソフトウェアにそれほど価値を見いだしておらず、もしかしたらその理念を誤解すらしている。
…えーと、認めたくないけどその通りですよね。まあ、ワタシはひねくれものなので、そう真っ正面から言われてしまうとなにくそ、頑張るぞ、と思ってしまうのだが、技術力が伴っていないのでできることが限られているのがなんともいやはやトホホ。
ビジネスシーンの話について言えば、Turbolinux自身が今どうなのか(親会社の現状も含めて)ということはさておき*1Linuxが使われることは増えてきていると感じる。劇的に既存の市場を侵蝕している、というわけではないにしても、安価に新しいサーバを導入したい、というときに、運用コストも含めてLinuxが選択肢の一つとして検討されるようになったことは確かなので、そういう運用管理の経験を持つ若者が増えてLinuxの運用コストが相対的に下がってくれば、ビジネスシーンからのてこ入れという可能性は残っているのではないかという気がしないでもない。もし現状ママでRed Hatが大きなシェアを占めつづけるのなら、日本のLinux事情に未来はないでしょう。だって今、Red Hatのエンタープライズ製品が(少なくとも日本では)Windowsと互角に戦えていないから。
若者が育つためにはやはりユーザーレベルでLinuxが普及していくことが必須なわけで、そこがVineとかMomongaとかPlamoとかKNOPPIXとかの頑張りどころなのではないでしょうか。

*1:身の回りで使われていないので正直言って分からないのです。