訴状によると、二男は今年1月に同中学を受験し合格。入学金も支払ったが、2月になって学校側から「松本被告の子供と分かったため入学を辞退してほしい」と告げられた。二男側は「生まれや出自による差別で違法」と主張している。
中学受験の費用プラス精神的苦痛の代償として5000万円は高いんじゃないかと思うが、それはともかく、犯罪者の子供だからという理由で入学を拒否することが合法かどうかなどという論点に対する結論は、裁判を受けるまでもなく明らかだ。きちんとした判決を期待したい。
しかし、この訴訟の問題点は、たとえ原告が勝訴しても、5000万円満額を勝ち取ったとしても、それで彼が入学できなかったという事実は変わらないし、今後また同様の差別を受ける可能性が減るわけではないということだ。裁判所の判決で、今後どの学校も彼を出自で差別してはいけない、というお墨つきみたいなのがもらえるなら、訴える意味もあるかもしれないが。
周りの人と話をすると、「いけないとは思うけど、でも自分の子供と同じ学校に入ってくるかもしれないということになったら、この学校と同じ判断を支持すると思う」という趣旨のことを、みんな言う。その判断自体が差別なのだと、それを許してはいけないのだと、ワタシは思うのだが。
最後に、そのうち消えてしまうと思われる朝日新聞の記事を引用しておく。
「まだ小6」「子どもに罪はない」といった意見も出た。しかし、「入学させれば辞退者が出て学校経営に影響が出る」などの反論も相次ぎ、被告の子と確認されれば入学を拒否することが決まったという。
保護者の判断と学校の判断は、実際には別のものなのだということが分かる。彼を受け入れて、関係者の理解を得るべく努力する、という方向の気持ちは、そこにはない。ただ「面倒は避けたい」、それだけなのだ。