少年犯罪は減っている

「リヴァイアさん、日々のわざ」経由、東京新聞の記事。正当な範囲で引用。

少年犯罪は全般的に減少傾向にあるものの高水準で推移しており、警察庁では「社会に注目される少年事件も多く、予断を許さない状況」としている。

見出しとこの締めくくりがなんとも煽っているわけですが、実際の数字、つまり元となっている資料はどんなことを言っているのか。警視庁の統計資料ページの、現在トップにある「少年非行等の概要(平成17年1〜12月)」という資料に詳細な数値がある。PDFファイルなのでここへ抜粋して記すことにする。

平成17年の刑法犯少年の検挙人員は12万3,715人(前年比8.3%減。戦後最高は昭和58年の19万6,783人)となった。人口比*1については、平成17年は15.9(戦後最高は昭和57、58年の18.8)となり、成人(2.5)の約6.4倍であった。

また、成人を含めた刑法犯総検挙人員に占める少年の割合は32.0%で、前年を2.7ポイント下回り、昭和49年(31.8%)以来31年ぶりの低い割合となった。

人数そのものも、人口比でも、成人を含めた総数に占める割合でも、少年犯罪は減っているのだ。ゲームする少年はキレやすいとか、ゲームするから非行に走るんだとかいうが、ゲーム人口の増加に対するこの少年犯罪数の推移をどう説明しますか。
あ、このあと犯罪の種類に対する検挙人員の推移が挙げられていますが、これはその年警察が何の検挙に力を入れたかで変わってくるので直接的にはあまり参考にならないと思います。しかしそれを承知で一つだけ挙げておくと、

過去10年間の少年による凶悪犯(殺人、強盗、強姦及び放火をいう。)の検挙人員の推移は、図11*2のとおりである。平成17年の検挙人員は、1,441人(前年比9.0%減)となった。凶悪犯の検挙人員は平成2年の1,078人を底に増加に転じ、平成9年に2,000人を超えてからは高原状態が続いていたが、2年続いての減少となり、過去10年で最低(平成7年の1,291人以来)となった。

凶悪犯も減ってるんじゃん!
で、でも、警察庁は「予断を許さない」って言ってるんでしょ?あ、一番最初の概要に書いてありますね…

平成17年中における少年非行情勢は、刑法犯少年の検挙人員が2年連続で減少し、風俗犯を除くすべての罪種で減少した。その一方で、東京都では高校生による実父母殺人事件が発生し、広島県及び栃木県では小学生が誘拐され殺害される事件が発生したほか、児童虐待事件が後を絶たないなど、少年に関係する社会を震かんさせる事件が続発し、少年の非行防止、保護の両面において予断を許さない状況にある。

そうだ、この資料には少年が被害者になった犯罪も含まれてるんだ忘れてたよ。ていうか東京新聞、思い切り警察庁のコメント曲解してるやん!

*1:同年齢層人口1,000人当たりの検挙人員

*2:ここでは掲載を省略